ホーム

「昔は平気だったのに」なぜ、今は子どもの外遊びが不安なのか

はじめに(調査の目的)

本アンケートは、お子さまが一人で外遊びできるようになった時期や、保護者の方が地域に対して感じている不安の変化について調査し、より安全なまちづくりのための基礎データとすることを目的として実施しました。

「昔と比べて、子どもを外で遊ばせることに不安を感じるようになった」そう感じる保護者は少なくありません。その感覚は、実際のデータとしてどのように表れているのでしょうか。

調査概要

  • 調査方法:Webアンケート
  • 回答数:110件
  • 主な対象:小学生の子どもを持つ保護者
  • 調査時期:2026年1月
  • 回答の収集方法:クラウドソーシングサービス経由 約100件、知人・関係者への聞き取り 約10件

※ Webアンケートの特性上、回答者の属性には一定の偏りが含まれる可能性があります。

回答者の属性

回答者の年齢層は「40代前半(29.1%)」「30代後半(23.6%)」「40代後半(16.4%)」が中心となっており、子育て真っ只中の保護者層が大多数を占めました。また、お子さんの学年は小学1年生〜5年生がボリュームゾーンとなっています。

👉 30代〜40代を中心とした、まさに「子育て真っ只中」の保護者のリアルな声が多く反映されています。

昔と比べて、子どもの外遊びへの不安は増えた?

「昔と比べて、子どもの外遊びに対する不安はどう変わりましたか?」という質問に対し、「少し増えた(50.9%)」「明らかに増えた(31.5%)」を合わせると、全体の約82.4%の保護者が以前よりも不安が増していると感じています。

👉 多くの保護者が、「昔よりも、子どもを一人で外に出すことに不安を感じるようになっている」ことがはっきりとデータに表れています。

子どもの行動範囲は狭くなっている?(同年代比較)

※お子さんの現在の学年による回答の偏り(まだ低学年だから遠くに行かせていない等)をなくすため、「小学1〜2年生の時点で、最大どこまで一人で行っていたか(行かせていたか)」という同じ条件で、親世代と現在の子ども世代を比較しました。

以下のグラフは、小学1〜2年生時点での「一人で行動できる最大の範囲」の分布です。

👉 同じ小学1〜2年生で比較しても、1km以上先へ行ける子どもは激減。現代は「家の近所(300m未満)」に留まるケースが目立ちます。

昔の親世代は、小学1〜2年生の時点で「1km以上」先まで一人で遊びに行っていた人が約2割(20人)いました。一方、現代の子ども世代で小1〜小2のうちに1km以上先へ行く子はごくわずか(5人)です。

さらに現代では、小学1〜2年生になっても「300m先でさえ一人では行かせていない」ケースが15人おり、親世代(8人)の約2倍に上ります。現代の子どもの行動範囲のピークは「〜300m」に留まっています。

小学3〜4年生時点での比較(現在小3以上のお子様がいる家庭のみ)

現在のお子様が小学3年生以上の家庭(77人)に絞って「小学3〜4年生時点」で比較しても、傾向は同じでした。親世代の約6割(45人)が1km以上先へ行っていたのに対し、現代の子ども世代は約3.5割(27人)にとどまっています。

👉 今の子どもたちは、親世代と比べて圧倒的に“距離的に外へ出にくくなっている(行動範囲が狭まっている)”傾向が読み取れます。

不安の正体は「犯罪」だけではなかった

外遊びに対して不安を感じる具体的な理由(複数選択)を尋ねたところ、上位には以下のような項目が並びました。

👉 不安の正体は「不審者・犯罪」だけではなく、暗い道や交通量など「まちの環境・インフラ」に起因するものが多数を占めています。

「夜になると暗い道」「人通りが極端に少ない場所」だけでなく、「交通量が多い大通り」「車のスピードが速い道路」など、交通事情やまちの構造に対する不安が上位を占めています。

不安の多くは「不審者・犯罪」そのものだけでなく、まちの環境やインフラに起因するものが多いことが分かります。

「危険ではないが、不安な場所」は確かに存在する

実際の治安悪化だけではなく、「危険とは断言できないが、なんとなく不安を感じる場所があるか?」という問いに対し、「時々ある(70.9%)」「よくある(10.9%)」と、8割以上の人が特定の場所に心理的ハードルを感じていることが判明しました。

不安を感じやすい場所の特徴(上位)回答数(複数選択)
夜になると暗い道57件
人通りが極端に少ない場所50件
見通しの悪い曲がり角39件
歩道が狭い道路35件
子どもだけになる場所20件

事故や犯罪が多発しているわけではなくても、「心理的に不安を感じる場所」としてこれらの空間が認識され、それが子どもの行動範囲を狭める要因の一つになっています。

なぜ「不安の可視化」が必要なのか

アンケート結果から見えてきたのは、以下の現実です。

  • 不安は増え、子どもの行動範囲は狭くなっている
  • 不安の多くは、統計や数字に表れにくい“環境・体感的要因”である

犯罪件数や事故件数といった「客観的な数字」だけでは、こうした“体感としての不安”は十分に拾いきれません。だからこそ、地域の人の感覚として情報を集め、地図上などに可視化していく仕組み(マチレポなど)に意味があります。

実証実験への関心

地域の「不安」を集める実証実験への関心についても、前向きな回答が多く得られました。

👉 「内容によっては協力したい(44.5%)」「興味がある(14.5%)」を合わせると、約6割の保護者が地域の不安を可視化する取り組みに関心を持っています。

おわりに

今回のアンケートからは、子どもの外遊びに対する不安が確実に増えており、同年代で比較しても行動範囲が親世代より狭くなっている実態がデータとして浮き彫りになりました。

現代はスマートフォンやGPS端末(見守りデバイス等)が普及し、子どもに持たせることで安全が担保されると思われがちです。しかし実際のデータを見ると、そうした便利なツールが一切なかった「昔」のほうが、皮肉にも子どもたちは一人で遠くまで遊びに行けていた(外遊びが進んでいた)という事実は、非常に興味深い示唆を与えてくれます。

行政の統計や犯罪データだけでは見えにくい地域の“体感治安”を少しずつ可視化していくことが、子どもが安心して外で過ごせるまちづくりにつながると考えています。今後も、まちの安全について考える材料を積極的に発信していきます。

みんなのマチレポでは、そうした「危険ではないが、少し不安に感じる場所」を、気軽に地図上に共有することができます。

まずは、日常の散歩や通学路の中で、「ここ、ちょっと暗いな」「見通しが悪いな」と感じた場所があれば、記録してみてください。